「日商簿記3級と2級を同時に受けることは可能なの?」
「日商簿記の3級と2級を同時に受ける場合、どれくらい勉強すればいいの?」
「ダブル合格できる効果的な勉強を知りたい!」
このような悩みでお困りの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ダブル合格を目指す方のために、メリット・デメリット、必要な勉強時間、おすすめな人の特徴、そして合格を掴むための具体的な勉強法までを徹底的に解説します。
日商簿記の3級と2級の同時受験は可能
結論から言うと、日商簿記検定の3級と2級は同時受験が可能です。
受験資格に学歴や年齢、国籍などの制限は一切なく、誰でも挑戦できるため、3級に合格していなくても2級の申し込みができます。
そのため、同じ試験日に3級と2級の両方を受験する「同時受験」という選択が成り立つのです。
実際に、効率性を重視して3級と2級のダブル合格を目指す受験者は少なくありません。
ただし、試験形式によって申し込み方法や当日の流れが異なるため、その仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
受験に必要な資格
日商簿記の受験には、特別な資格は一切必要ありません。
公式サイトでも明記されている通り、学歴、年齢、性別、国籍による制限はなく、誰でもどの級からでも受験することが可能です。
例えば、簿記の知識が全くない状態から、いきなり2級や1級に挑戦することも制度上は問題ありません。
この「誰でも挑戦できる」という門戸の広さが、簿記検定が多くの社会人や学生に支持される理由の一つです。
したがって、3級と2級の同時受験を検討する際に、自身の経歴や資格を気にする必要は全くないのです。
同時受験可能な試験の仕組み
日商簿記の3級と2級を同時に受験する場合、試験形式によってその方法が異なります。
簿記検定には、年に3回実施される全国一斉の「統一試験(ペーパー試験)」と、随時受験可能な「ネット試験(CBT方式)」の2種類が存在します。
これらの試験形式の違いを理解し、自分に合った方法で同時受験を計画することが、ダブル合格への第一歩となります。
統一試験では試験時間が重複しないように申し込む必要があり、ネット試験では同日でも別日でも柔軟に設定が可能です。
それぞれの特徴を把握しておきましょう。
統一試験の場合
統一試験(ペーパー試験)で3級と2級を同時に受験する場合、試験時間が重ならないように申し込むことが必須です。
統一試験は、例年6月、11月、2月の年3回、決められた日時に全国の会場で一斉に実施されます。
多くの場合、午前中に3級、午後に2級の試験が行われるため、同日での受験が可能です。
ただし、申し込みをする商工会議所によっては、会場の都合などで両方の級を実施しないケースも考えられます。
そのため、必ず受験を希望する地域の商工会議所の公式サイトで、試験スケジュールと申し込み要項を事前に確認することが重要です。
ネット試験の場合
ネット試験(CBT方式)を利用すれば、3級と2級の同時受験は非常に柔軟に行えます。
ネット試験は、テストセンターが定める日時であれば随時受験が可能で、統一試験のように特定の日を待つ必要がありません。
そのため、同じ日に午前3級、午後2級といった形で受験することも、あるいは「今週は3級、来週は2級」というように、自分の学習進捗に合わせて日程を組むことも可能です。
ただし、試験会場の空席状況によっては希望の日時で予約できない場合もあるため、特に受験者が増える統一試験前後の期間は、早めに予約を済ませておくと安心です。
自分のペースで受験計画を立てたい人には、ネット試験が最適な選択肢と言えるでしょう。
日商簿記の3級2級を同時受験するメリット
日商簿記の3級と2級を同時に受験することには、多くのメリットがあります。
最大の利点は、学習内容の重複を活かした効率的な学習と、それに伴う時間や費用の節約です。
また、高い目標を掲げることで、学習へのモチベーションを維持しやすいという精神的なメリットも見逃せません。
これらの利点を最大限に活用することで、短期間でのステップアップを実現できる可能性があります。具体的なメリットを一つずつ見ていきましょう。
3級と2級のダブル合格ができる
同時受験の最も大きなメリットは、一度の挑戦で3級と2級の両方の合格を狙えることです。
もしダブル合格を果たせれば、簿記の基礎から応用までを短期間で習得した証明となり、就職や転職活動において強力なアピールポイントになります。
例えば、履歴書に「日商簿記3級 合格」「日商簿記2級 合格」と2つの資格を記載できれば、採用担当者に高い学習意欲と計画性を示すことができるでしょう。
通常であれば数ヶ月から半年以上かかるステップアップを一度で実現できる点は、大きな魅力と言えます。
試験範囲が被っており、効率的に勉強できる
3級と2級の試験範囲には重複する部分が多く、学習の効率を大幅に高めることが可能です。
2級の商業簿記は、3級の知識が土台となっており、その応用・発展的な内容が問われます。
具体的には、3級で学ぶ現金預金、商品売買、固定資産といった基本的な論点は、2級でもそのまま出題範囲に含まれます。
そのため、3級の学習で固めた基礎知識は、直接2級の対策に繋がり、学習の重複を避けられます。
この関連性の高さを利用すれば、別々に勉強するよりもはるかにスムーズに知識を積み上げていくことができるのです。
勉強時間・期間を短縮できる
試験範囲の重複は、結果として総勉強時間と学習期間の短縮に直結します。
3級合格後に改めて2級の勉強を始める場合、一度学習ペースが途切れてしまい、基礎知識を思い出すところから再スタートになりがちです。
しかし、同時受験を目指せば、3級の知識が新鮮なうちに2級の学習へ移行できるため、知識の定着が早く、無駄な時間を削減できます。
例えば、3級に100時間、2級に200時間かかるところを、同時学習なら合計250時間程度で済ませられる可能性があります。
短期間で集中して取り組むことで、効率的にダブル合格を目指せるのは大きなメリットです。
モチベーションを維持しやすい
「3級と2級のダブル合格」という明確で高い目標は、学習モチベーションを維持する上で強力な追い風となります。
資格学習は時に単調で、途中でだらけてしまうことも少なくありません。
しかし、「次の試験で一気に2級まで取る」という目標があれば、日々の学習にも張り合いが生まれます。
3級の学習を終えた後も、「次は2級だ」とすぐに気持ちを切り替えられ、学習の勢いを止めずに突き進むことができます。
この高い目標設定が、学習のマンネリ化を防ぎ、最後まで集中力を保つための原動力となるのです。
日商簿記の3級2級を同時受験するデメリット
多くのメリットがある一方で、日商簿記3級と2級の同時受験には相応のデメリットも存在します。
最大の課題は、2つの級を同時に学習することによる負担の大きさです。
この負担は、学習量だけでなく、費用面や精神面にも及びます。
これらのデメリットを事前に理解し、自分に乗り越えられるかどうかを冷静に判断することが、無謀な挑戦を避けるために不可欠です。
安易に同時受験を決めると、後悔することになりかねません。
試験対策の負荷が大きい
同時受験の最大のデメリットは、学習範囲の広さからくる勉強の負荷が大きいことです。
3級の商業簿記に加え、2級ではより複雑な商業簿記と、全く新しい分野である工業簿記が範囲に含まれます。
これは、単純に勉強量が2倍以上になることを意味し、限られた時間の中でこれらすべてをマスターするのは容易ではありません。
特に働きながら学習を進める社会人にとっては、平日の夜や休日をほぼ全て勉強に費やす覚悟が必要になるでしょう。
この大きな学習負荷に耐えうるだけの、強い意志と計画性が求められます。
お金が無駄になる可能性がある
もしダブル合格が果たせなかった場合、支払った受験料が無駄になってしまうリスクがあります。
2025年時点の受験料は、3級が3,300円、2級が5,500円(ネット試験の場合)であり、両方を受験すると合計で8,800円が必要です。
もし学習が間に合わず、どちらか一方、あるいは両方とも不合格になってしまうと、この費用は戻ってきません。
例えば、2級の対策に追われて3級の勉強が疎かになり、結果として両方とも不合格という「共倒れ」のシナリオも十分に考えられます。
体力的・精神的にきつい
短期間で広範な知識を詰め込む必要があるため、体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。
合格のためには、継続的な学習時間の確保が必須となり、プライベートの時間を大幅に削ることになるでしょう。
友人との予定を断ったり、趣味の時間を諦めたりする必要があるかもしれません。
このような生活が続くと、ストレスが溜まり、学習効率が低下したり、最悪の場合、体調を崩してしまったりする恐れもあります。
「絶対にダブル合格する」というプレッシャーが、かえって自分を追い詰めてしまう可能性があるのです。
試験当日がつらい
統一試験で同日受験する場合、試験当日の負担が非常に大きいというデメリットがあります。
午前中に3級(60分)、午後に2級(90分)と、合計で2時間半もの試験時間に加え、休憩時間や移動時間を含めると、ほぼ一日がかりの長丁場になります。
午前の3級試験で全力を出し切ってしまい、午後の2級試験では集中力が続かない、という事態も十分に起こり得ます。
特に2級は複雑な問題が多く、高い集中力が要求されるため、疲労がピークの状態で臨むのは非常に不利です。
3級・2級共に中途半端になってしまう可能性がある
二兎を追う者は一兎をも得ず、ということわざ通り、両方の対策が中途半端に終わってしまうリスクがあります。
学習範囲が広いため、どちらの級の対策にも十分な時間を割けず、知識が定着しないまま本番を迎えてしまう可能性があります。
例えば、3級の基礎が固まっていないのに焦って2級の学習に進んでしまい、結果としてどちらの理解も浅くなってしまうケースです。
これでは、本来であれば確実に合格できたはずの3級さえも落としてしまうという、最悪の結果になりかねません。
日商簿記の3級2級を同時受験をおすすめする人
多くの困難が伴う同時受験ですが、特定の条件を満たす人にとっては、非常に効果的な戦略となり得ます。
それは、十分な学習時間を確保できる人、既に関連知識を持っている人、そして明確な目的意識がある人です。
これらの要素は、高い学習負荷を乗り越え、モチベーションを維持するための重要な鍵となります。
300時間試験勉強の時間を確保できる人
ダブル合格を目指すなら、最低でも300時間程度の勉強時間を確保できることが一つの目安になります。
これは、一般的に3級合格に必要な約100時間と、2級合格に必要な約200時間を合わせたものです。
例えば、3ヶ月で合格を目指す場合、1ヶ月あたり100時間、1日あたりに換算すると3時間以上の学習が必要です。
学生や、仕事の繁忙期を避けられる社会人など、この学習時間を捻出できる見込みがある人にとっては、同時受験は現実的な選択肢となるでしょう。
現役の経理部で3年以上働いている人
経理の実務経験が3年以上ある方は、同時受験において大きなアドバンテージを持っています。
日々の業務で仕訳や勘定科目に触れているため、簿記の基本的な概念が既に身についているからです。
これにより、3級の学習範囲は復習程度でスムーズに終えられ、すぐに2級の学習に集中できます。
例えば、実務で減価償却や法人税の処理に関わった経験があれば、2級の複雑な論点もイメージしやすく、理解のスピードが格段に上がります。
起業のために簿記を勉強する人
将来的に起業を考えている人にとって、2級までの知識はビジネスに必須であり、同時受験は理にかなっています。
会社の経営状況を正しく把握するためには、財務諸表を読み解く能力が不可欠であり、これはまさに簿記2級で学ぶ内容そのものです。
特に2級で学ぶ工業簿記の「原価計算」は、自社製品やサービスの価格をいくらに設定すれば利益が出るのかを計算する上で極めて重要です。
この知識がなければ、適切な価格設定や損益分岐点の分析ができず、どんぶり勘定の経営に陥ってしまいます。
事業を成功させるという強い目的があるため、高いモチベーションで学習を進められるでしょう。
日商簿記を同時受験してダブル合格するための勉強のコツ
日商簿記3級・2級の同時受験という高いハードルを越えるためには、戦略的な学習が不可欠です。
やみくもに勉強するのではなく、効率を最大限に高めるためのコツを押さえることで、合格の可能性は大きく高まります。
3級の学習をしっかりやる
ダブル合格を目指す上で最も重要なコツは、何よりも先に3級の学習範囲を完璧にマスターすることです。
なぜなら、2級の商業簿記は3級の知識を土台としており、この土台がぐらついていると、その上に新しい知識を積み上げることはできないからです。
具体的には、3級のテキストや問題集を最低3周は繰り返し、どの論点が出てもスラスラと仕訳が書けるレベルを目指しましょう。
この基礎固めを徹底することが、結果的に2級の学習をスムーズに進めるための最大の近道となります。
予備校を利用する
独学での合格が難しいと感じる場合は、資格予備校や通信講座の利用を積極的に検討しましょう。
予備校には、長年の指導で培われた合格のためのノウハウが凝縮されており、学習の効率を飛躍的に高めてくれます。
経験豊富な講師陣が、つまずきやすいポイントや試験に出やすい論点を的確に解説してくれるため、無駄のない学習が可能です。
また、カリキュラムに沿って学習を進めることで、ペースメーカーとしての役割も果たしてくれます。
本番当日を想定した練習をする
知識をインプットするだけでなく、本番を想定したアウトプットの練習が合否を分けます。
具体的には、時間を計って過去問や予想模試を解くトレーニングを繰り返し行いましょう。
これにより、時間配分の感覚を養い、問題を解くスピードを高めることができます。
特に統一試験での同時受験を考えている場合は、午前中に3級、午後に2級の模試を連続で解くなど、当日の過酷なスケジュールをシミュレーションしておくことが有効です。
十分な勉強時間を確保する
精神論だけでなく、物理的に十分な勉強時間を確保することが、ダブル合格の大前提です。
前述の通り、最低でも300時間という学習時間を目安に、自分の生活の中からいかにして勉強時間を捻出するか、具体的な計画を立てましょう。
例えば、「平日は通勤時間に1時間、帰宅後に2時間」「休日は午前中に4時間」といったように、日々のスケジュールに学習を組み込んでしまうのが効果的です。
有料の学習方法を活用する
市販のテキストだけでなく、質の高い有料教材を活用することも、学習効率を高める有効な手段です。
予備校の講座はもちろんのこと、最近ではオンラインで利用できる質の高い動画教材や問題演習アプリなども充実しています。
これらの有料教材は、無料の情報と比べて、情報が体系的に整理されていたり、分かりやすい解説が付いていたりと、学習者が効率よく学べるように設計されています。
ネット試験を選択する
体力的な負担を軽減し、受験計画を柔軟にするために、ネット試験(CBT方式)の活用を強くおすすめします。
ネット試験であれば、統一試験のように1日で2つの試験を受ける必要がなく、「今週3級、来週2級」というように自分のコンディションや学習進捗に合わせて受験日を分けられます。
これにより、試験当日の疲労を心配することなく、それぞれの試験に万全の状態で臨むことが可能です。
また、試験後すぐに合否が判明するため、もし3級に落ちてしまった場合でも、すぐに気持ちを切り替えて2級の対策に集中できるというメリットもあります。
まとめ
日商簿記検定の3級と2級は、受験資格に制限がなく、統一試験とネット試験のどちらの方法でも同時受験が可能です。
同時受験には、学習範囲の重複を活かした効率的な学習や、勉強期間の短縮、高いモチベーションの維持といった多くのメリットがあります。
一方で、学習負荷の大きさや、費用が無駄になるリスク、体力的・精神的な厳しさといったデメリットも存在するため、安易な決断は禁物です。
特に、300時間以上の勉強時間を確保できる人、経理の実務経験がある人、起業という明確な目的を持つ人などは、同時受験のメリットを最大限に活かせる可能性が高いでしょう。
ダブル合格という大きな目標を達成するためには、3級の基礎を徹底的に固め、予備校や有料教材を活用し、本番を想定した練習を重ねることが重要です。
特に、体力的負担を軽減できるネット試験の活用は、非常に有効な戦略となります。
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