「簿記3級・2級の合格率はどのくらいなの？」

「簿記3級・2級を取得するのは、どのくらい難しいの？」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

日商簿記検定の合格を目指す上で、合格点や合格率、難易度を事前に把握しておくことは非常に重要です。

なぜなら、試験の全体像を理解することで、自分に合った学習計画を立てやすくなり、効率的に合格を目指せるからです。

本記事では、2025年最新の日商簿記検定3級・2級・1級の合格率や難易度、試験概要、おすすめの勉強方法をご紹介します。

【2025年最新】日商簿記の合格率

日商簿記検定の合格率は、級や試験形式（統一試験・ネット試験）によって異なり、回によっても変動します。

合格率の傾向を把握することは、試験の難易度を客観的に理解し、適切な学習戦略を立てる上で不可欠です。

特に近年はネット試験の導入により、受験機会が拡大し、合格率にも変化が見られます。

ここでは、級ごとの最新合格率と、これまでの推移を詳しく見ていきましょう。

簿記3級

簿記3級の合格率は、統一試験で30%～40%台、ネット試験では40%前後で推移しており、比較的安定しています。

これは、簿記の入門レベルとして基本的な知識が問われ、絶対評価で70点以上取れれば合格できるためです。

直近の第170回（2025年6月）統一試験の合格率は42.4%と高い水準でした。

ネット試験は自分のタイミングで受験できるため、学習の完成度が高い状態で臨む受験者が多く、合格率がやや高くなる傾向にあります。

簿記2級

簿記2級の合格率は、統一試験で10%～30%前後と、回による変動が大きいのが特徴です。

3級の商業簿記に加えて工業簿記が範囲に加わり、難易度が格段に上がるため、合格率が低くなる傾向にあります。

例えば、第165回（2023年11月）は11.9%と非常に低い一方、第168回（2024年11月）は28.8%と比較的高くなるなど、試験の難易度にばらつきが見られます。

ネット試験の合格率は35%前後で安定しており、統一試験よりも高い水準です。

簿記1級

簿記1級の合格率は、例年10%前後で推移しており、非常に難易度の高い試験であることが分かります。

公認会計士や税理士への登竜門と位置づけられるほどの高度な会計知識が求められ、合格のハードルは極めて高いです。

直近の第170回（2025年6月）試験の合格率は14.0%でした。

簿記1級は統一試験のみで実施され、ネット試験はありません。

安定して低い合格率であることから、合格には戦略的かつ長期間の学習が必須となります。

級ごとの合格率の推移は？

級ごとの合格率の推移を見ると、3級は比較的安定、2級は変動が大きく、1級は常に低水準という傾向が見て取れます。

この推移は、各級の試験範囲や難易度、そして受験者層の違いを反映しています。

3級は入門レベルのため合格率が安定していますが、2級は試験範囲の改定などの影響で難易度が変動しやすく、合格率も上下します。

1級は常に最高峰の難易度であるため、合格率は常に低いままです。

これらの推移を理解することで、各級の試験対策をより戦略的に進めることができます。

簿記3級・2級・1級の合格基準は？

日商簿記検定の合格基準は、全ての級で共通して、満点の70%以上の得点を獲得することです。

これは、受験者の中で上位何%が合格するという相対評価ではなく、定められた基準点を超えれば全員が合格できる絶対評価の試験であることを意味します。

したがって、他の受験者の成績に関わらず、自分が70点以上を取れるかどうかが合否の分かれ目となります。

この明確な合格基準があるからこそ、学習の目標設定がしやすく、着実に実力をつければ合格を掴み取ることが可能です。

級ごとの難易度

日商簿記検定の難易度は、級が上がるごとに飛躍的に高くなります。

各級で求められる知識レベルや学習範囲が大きく異なるため、それぞれの難易度を正確に把握し、自分に合った級から挑戦することが重要です。

3級がビジネスパーソンとしての基礎知識レベルであるのに対し、2級は実務で求められる専門知識、1級は会計のプロフェッショナルレベルとされています。

ここでは、各級の具体的な難易度の違いを解説します。

簿記3級

簿記3級の難易度は、簿記の入門として位置づけられており、決して高くはありません。

経理や会計の基本的な仕組みを理解し、基本的な商業簿記の知識があれば、十分に合格が可能です。

多くの企業でビジネスパーソン必須の知識と評価されており、初学者でも計画的に学習すれば短期間での合格を目指せます。

合格率が比較的高く安定していることからも、簿記学習の第一歩として最適な資格と言えるでしょう。

簿記2級

簿記2級の難易度は3級から格段に上がり、企業の経理・財務担当者に求められる実践的なレベルとなります。

3級の商業簿記に加えて、製造業の会計処理である「工業簿記」が試験範囲に加わることが、難易度を大きく引き上げる要因です。

企業の経営管理に役立つ知識として評価が高く、就職や転職市場でも有利に働くため、多くの学習者が目標としています。

合格率が不安定なことからも分かるように、しっかりとした対策と学習時間の確保が合格の鍵となります。

簿記1級

簿記1級の難易度は極めて高く、会計分野における最高峰の資格の一つです。

商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算という広範かつ高度な専門知識が問われ、会計基準や関連法規への深い理解も求められます。

合格すれば税理士試験の受験資格が得られることからも、その難易度の高さがうかがえます。

公認会計士や税理士といった国家資格を目指す上での登竜門とされており、合格には年単位での計画的な学習と不屈の努力が必要です。

合格するための勉強時間の目安

簿記検定に合格するために必要な勉強時間は、目指す級の難易度や個人の学習経験、学習方法（独学か講座利用か）によって大きく異なります。

一般的に、級が上がるにつれて必要な勉強時間は飛躍的に増加します。

例えば、3級であれば社会人でも働きながら十分に確保できる時間ですが、1級になると年単位での長期的な学習計画が必要不可欠です。

自分に必要な勉強時間を把握し、無理のない学習スケジュールを立てることが、合格への第一歩となります。

簿記3級

簿記3級の合格に必要な勉強時間は、一般的に50時間から100時間程度が目安とされています。

これは、簿記初学者が基礎から学習を始める場合の時間であり、効率的に学習を進めれば、1〜2ヶ月程度の短期間で合格を目指すことも可能です。

例えば、通信講座などを利用すれば、独学よりも短い50時間程度で合格レベルに達することもできます。

社会人や学生でも、日々のスキマ時間を活用することで十分に確保できる勉強時間と言えるでしょう。

簿記2級

簿記2級の合格には、3級レベルの知識があることを前提として、100時間から250時間程度の勉強時間が必要です。

3級に比べて学習範囲が格段に広がり、特に工業簿記は初学者にとって新しい概念であるため、相応の学習時間が求められます。

独学の場合は150〜250時間、講座を利用する場合は100〜200時間が目安となります。

3〜6ヶ月程度の学習期間を設け、計画的に学習を進めることが合格への近道です。

簿記1級

簿記1級の合格には、2級合格レベルの知識を前提としても、400時間から700時間、あるいはそれ以上の膨大な勉強時間が必要です。

独学の場合は500〜700時間、講座を利用しても400〜600時間が目安となり、2級や3級とは比較にならない難易度です。

学習範囲が広く内容も高度なため、多くの受験生が1年以上の期間をかけて合格を目指します。

継続的な学習習慣と高いモチベーションを維持することが、この難関を突破するための鍵となります。

簿記の資格が活かせる仕事

簿記の資格は、経理や財務といった専門職だけでなく、非常に幅広い職種で活かすことができる汎用性の高いスキルです。

なぜなら、簿記は「ビジネスの言語」とも言われ、企業の経営活動を数字で理解するための基礎となる知識だからです。

例えば、営業職であれば取引先の経営状況を分析して与信管理に役立てたり、経営者であれば自社の財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を下すことができます。

特に転職市場では日商簿記2級以上が高く評価される傾向にあり、キャリアアップの強力な武器となります。

簿記のスキルを活かして、副業でさらなる収入アップやキャリアアップを目指すことも可能です。

おすすめの勉強方法

簿記の学習方法は、独学、通信講座、通学講座の3つに大別され、それぞれにメリットとデメリットがあります。

自分自身のライフスタイルや学習ペース、予算に合わせて最適な方法を選択することが、効率的な学習と合格への近道となります。

例えば、コストを抑えたいなら独学、自分のペースで効率的に学びたいなら通信講座、疑問点を直接講師に質問したいなら通学講座が適しています。

どの方法を選ぶにせよ、インプットとアウトプットをバランス良く繰り返すことが重要です。

日商簿記試験の概要

日商簿記試験は、従来の統一試験（ペーパー試験）に加え、近年ではネット試験（CBT方式）が導入され、受験方法の選択肢が広がりました。

これにより、受験者は自身の学習進捗やスケジュールに合わせて、より柔軟に試験に挑戦できるようになりました。

統一試験は年に数回、決められた日時に一斉に実施されるのに対し、ネット試験はテストセンターで随時受験が可能です。

どちらの試験形式も資格の価値に優劣はなく、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

統一試験（ペーパー試験）実施概要3級・2級・1級

統一試験（ペーパー試験）は、長年実施されてきた伝統的な形式の試験です。

全国の商工会議所が指定する会場で、年に数回（1級は2回、2・3級は3回）、決められた試験日に一斉に実施されます。

筆記用具を用いて問題用紙や答案用紙に直接書き込んで解答する形式のため、パソコン操作が苦手な方でも安心して受験できます。

学習のペースメーカーとして試験日が決まっている方が集中しやすいという方や、使い慣れた紙の形式で実力を発揮したい方におすすめです。

ネット試験実施概要（CBT方式）

ネット試験（CBT方式）は、2級と3級を対象に導入された新しい試験形式です。

最大のメリットは、試験センターが定める日時の中から、自分の都合の良いタイミングで受験予約ができる点です。

試験会場のパソコンを使用して解答し、試験終了後すぐに合否が判明するため、学習の成果をすぐに確認し、次のステップへ進みやすいのが特徴です。

万が一不合格だった場合でも、すぐに復習して再挑戦できるため、効率的に合格を目指したい方に適した試験方法と言えます。

試験日・試験内容

日商簿記検定の試験日と試験内容は、受験する級と試験形式によって異なります。

統一試験は、例年6月、11月、2月の年3回（1級は6月と11月のみ）実施されます。

一方、ネット試験は、テストセンターの空き状況に応じて随時受験が可能です。

試験内容は、3級が商業簿記、2級が商業簿記と工業簿記、1級が商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算から出題され、級が上がるごとに専門性が高まります。

まとめ

この記事では、2025年最新の日商簿記検定について、合格点、合格率、難易度、勉強時間の目安、試験概要、そして資格を活かせる仕事やおすすめの勉強方法まで幅広く解説しました。

日商簿記検定の合格基準は全級共通で70%以上の得点ですが、合格率や難易度は級によって大きく異なります。

3級は合格率が比較的高く初学者におすすめですが、2級、1級と進むにつれて難易度は飛躍的に高くなり、相応の学習時間が必要となります。

また、従来の統一試験に加えてネット試験が導入されたことで、受験者はより柔軟に試験に臨めるようになりました。

ご自身のキャリアプランや学習スタイルに合わせて目標の級と受験方法を定め、計画的に学習を進めることが合格への鍵となります。